日本のエネルギー安全保障、高いロシアへの依存
エネルギー安全保障という概念がある。
ロシアのウクライナ進攻によりロシアからの天然ガス供給停止が、欧州のエネルギー危機を引き起こしている。影響は世界中に波及し、日本では円安も追い打ちをかけ、ガソリン含めて物価高騰が社会生活に大きな影響を及ぼす事態になってきた。
こうなると、地球温暖化への取組どころではなくってくる。ドイツも原子力発電所や石炭火力発電所の停止を先送りした。日本はどうだろう、火力や原子力など安定電源の減少、不安定な太陽光の増加によって構造的な電力危機リスクを抱えたうえでのエネルギー危機となっている。
日本はエネルギー資源を国内にほとんど持たない。エネルギー安全保障の観点からはリスクは極めて高い。
さらに、日本は自然災害という面でもリスクの高い国である、地震が多発する地域にあり、世界の火山の7%が日本にある(日本の国土面積は世界の0.28%にすぎず、火山の多さが際立っている)。更に台風が頻発する地域でもある。先進国の中では最もリスクの高い国だという事を認識する必要がある。
では日本はエネルギーをどれくらい、どの国に依存しているのか?
資源エネルギー庁が公表している日本の一次エネルギーの国内自給率は12.1%で、世界の35位となっている。この自給率の中には原子力も含まれているので、原子力燃料の原料まで遡及すれば、自給率は更に低い数値となる。
さらに、エネルギー安全保障の観点からは、90%にのぼる一次エネルギーを海外のどの国に依存しているのかが重要だ。
資源エネルギー庁の公表資料からエネルギーベースで分析してみたのが次のグラフだ(石油・石炭・LNGの合計)。
一位はオーストラリア(石炭とLNG)、2位はサウジアラビア(石油)・3位アラブ首長国連邦(UAE)(石油)と続く、
4位はロシア(石炭・石油・LNG)7.7%となっており、政治的なハイリスク国がかなりの比率を占めている。ちなみに、中国は18位(石炭)0.1%にとどまっている。
ロシアのウクライナ進攻にも拘わらず、政府がサハリンのLNGとの関係を断ち切れないのはこのようなファクトがあるのだ。
ではエネルギー安全保障の観点からは再生可能エネルギーを増やせばいいのか?
長期的にはそうだが、不安定な自然エネルギーを主にする事は困難であり、注目されている水素やアンモニアなどは生成にエネルギーが必要であり、日本国内だけで製造できるものでもない。様々な国とエネルギー源のミックスヘッジの考え方が必要だ、要するに保険を色々とかけておくという運用しか現実的にはないと思われる。
資源エネルギー庁資料(各国のエネルギー自給率)
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