SDGsのエネルギー目標と日本のエネルギー基本計画
【タイトル説明:国連インディアHPのSDGsエネルギーのロゴ、 まだ電化されていない地域がかなりある事が分かる。インドのSDGsゴール7は日本とは事情が異なる事が理解できる。】
日本政府のエネルギー基本計画が2021年10月22日閣議承認された。このなかでは2030年の電力構成で再生可能エネルギー比率を現状の18%から36~38%に大きく拡大し、LNG/石炭などの化石燃料火力を69%から39%にほぼ半減する計画が織り込まれている。この実現性については、既に様々な部門から疑問が提示されている。エネルギー分野は大きなインフラ(供給と需要双方)の転換が伴い、簡単ではない。既に世界中でガスや石油の減産から高騰が始まっており、世界のバランスを取りながら進まないと、エネルギー恐慌という事態もありうるだろう。
さて、このエネルギー基本計画のベースになっているのは2015年の国連によるSDGs合意だ。
改めて基本に立ち返ってSDGsでのエネルギー項目の記載を読み返してみたい。SDGsのゴール7がエネルギーの項目であり、次の通り記載されている。
日本のエネルギー基本計画は世界のエネルギー基本改革の一環であることを理解すべきだが、総論賛成、各論は各国・各地域・それぞれの事情があり、そもそも電力が普及していない貧困地域がある一方で、地勢的に再生可能エネルギーの恩恵を享受できる恵まれた地域もある。全部に最適な共通因数を見出す事は単純ではない。
◆ SDGs Goal 7. 手ごろなクリーンなエネルギーを
すべての人に手ごろで信頼できる、持続可能で近代的なエネルギーの利用を確保する
(原文: Affordable and Clean Energy. Ensure access to affordable, reliable, sustainable and modern energy)
2030年までのターゲット
7.1 安価で信頼できるモダンエネルギーの普遍的利用を確保する。
7.2 再生可能エネルギーの割合を大幅に拡大させる。
7.3 世界全体のエネルギー効率の改善率を倍増。
7.a 再生可能エネルギー、エネルギー効率及び先進的かつ環境負荷の低い化石燃料技術などのクリーンエネルギーの研究及び技術へのアクセスを促進するための国際協力を強化し、エネルギー関連インフラとクリーンエネルギー技術への投資を促進する。
7.b 支援プログラムに沿って開発途上国(特に後発開発途上国、小島開発途上国、内陸開発途上国)の全ての人々に現代的で持続可能なエネルギーサービスを提供できるよう、インフラ拡大と技術最新化を行う。
この目標が設定された背景には、電力を利用できない人が世界人口の13%(10億人)にのぼり、30億人が家庭の調理や暖房に、石炭、薪、木炭、動物の排せつ物などを使っており、屋内空気汚染で年間430万人が死亡している事実などが言及されている。
冒頭に表示した国連インドのHPにあるSDGs目標には、モダン電力にアクセスできない人が国民の12.6%いる事、すべての村に電力をという目標が掲げられている。まさにこのような事情も含めて設定されたゴールなのだ。
エネルギーは健康な生活、貧困、地球温暖化など幅広く普遍的に関係する項目なので、重要度は大変高い。
再生可能エネルギー・自然エネルギーが連日メディアを賑わしているが、先進国で求められているのは、停電のない安定した電力が大前提で、それに加えて、再生可能エネルギー、エネルギー効率向上となる。一方、アフリカでは過半数の国の電力普及率が50%を切っている。まずは電気を使えるようにするのが重要だ。各国でSDGsの目標は異なる。
・・SDGs原文・・
Goal 7 targets
7.1 By 2030, ensure universal access to affordable, reliable and modern energy services
7.2 By 2030, increase substantially the share of renewable energy in the global energy mix
7.3 By 2030, double the global rate of improvement in energy efficiency
7.A By 2030, enhance international cooperation to facilitate access to clean energy research and technology, including renewable energy, energy efficiency and advanced and cleaner fossil-fuel technology, and promote investment in energy infrastructure and clean energy technology
7.B By 2030, expand infrastructure and upgrade technology for supplying modern and sustainable energy services for all in developing countries, in particular least developed countries, small island developing States, and land-locked developing countries, in accordance with their respective program of support.
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